職場でのコミュニケーション不安の要因

「10人いたら10通りの考え方がある」という言葉があるように、上司と部下もそれぞれ異なる考え方や伝え方、捉え方を持っています。しかし、実際の職場コミュニケーションの場面では、なぜかこのことを忘れがちです。

上司と部下でコミュニケーションを取る際には、自分が言っていることを、相手も同じ意味で理解する前提で話す上司や、上司にとっておかしいことを言う部下がいても、なぜそう言うのかを考えずに、間違った意見だと決めつけてしまう上司もいます。

コミュニケーションをうまく取れない理由のひとつとして、このような「認識のズレ」が考えられます。私たちは、「人それぞれに考え方が違う」ということはわかっています。しかし、その違いが具体的には分からないのです。

上司や部下は、理解できないことや見えないことに不安を感じます。それから逃れるために、対象を恐れたり攻撃したりします。会議や業務の進行中に意見が食い違ったとき、上司が部下を叱責してしまう場面もあるかもしれません。

バラエティ番組で「箱の中身はなんだろう?」というのをよく見かけますが、これと同じです。箱の中身が「こんにゃく」だったとしても、中が見えないから不安を感じるのと同じです。その不安がますます強くなると、恐怖に変わっていきます。すると、部下はイライラしたり、反発したり、萎縮してしまったりするかもしれません。

一方で、上司も部下もお互いの考え方や捉え方を理解していれば、そうした恐れや不安を取り除くことができるでしょう。上司が部下の意見に耳を傾け、部下が上司の期待に応えようと努力すれば、コミュニケーションは円滑になります。

つまり、上司と部下の間でコミュニケーションに苦手意識を感じる人であれば、相手がどのような考え方をするかを具体的に理解しておくことが、コミュニケーションのもどかしさを解消する手助けとなります。コミュニケーションに課題を特に感じていない関係性であれば、より円滑な関係を構築し、生産性の高い職場を築くことができるでしょう。